春の花の季語の草花編、前回の青、紫色に続き、黄色、オレンジ、その他の花をお送りします。
春の木の花・白
春の木の花・赤、ピンク、紫
春の木の花・黄色
桜・植物、桜・時候その他
梅
花いっぱいの喜びに満たされる春、出会ったお花でぜひ一句詠んでみてくださいね。
植物
三色菫(さんしきすみれ)
晩春
パンジー。丈夫で花期が長いので、花壇によく用いられる。
遊蝶花(ゆうちょうか)、胡蝶花(こちょうか)、パンジー、ヴィオラ
- 遊蝶花春は素朴に始まれり 水原秋櫻子
- パンジーの畑蝶を呼び人を呼ぶ 松本たかし
黄水仙(きずいせん)
仲春
ヒガンバナ科の多年草。
南ヨーロッパ原産で、江戸時代末期に渡来した。
- 黄水仙みな横向くはよそよそし 長谷川照子
喇叭水仙(らっぱすいせん)
仲春
ダッフォディル、桃色水仙(ももいろすいせん)
- 点滴も喇叭水仙も声なさず 石田波郷
花輪菊(はなわぎく)
晩春
花春菊(はなしゅんぎく)
金盞花(きんせんか)
晩春
常春花(じょうしゅんか)、長春花(ちょうしゅんか)、ときしらず、唐金盞(とうきんせん)、金盞草(きんせんそう)、カレンデュラ
- 磯波の泡波伸びつ金盞花 水原秋櫻子
- 金盞花炎ゆる田水に安房の国 角川源義
貝母の花(ばいものはな)
仲春
ユリ科バイモ属の多年草。
編笠百合(あみがさゆり)、春百合(はるゆり)、初百合(はつゆり)、母栗(ははくり)
- 白き蝶貝母の花にまぎれくる 大場白水郎
- こゝろやさしくなる花貝母蕾して 及川貞
フリージア
晩春
香雪蘭(こうせつらん)、浅黄水仙(あさぎすいせん)
- フリージアを挿して拝みぬ父の墓 今井千鶴子
君子蘭(くんしらん)
仲春
ヒガンバナ科の常緑多年草。
南アフリカ原産で明治時代に渡来した。
大花君子蘭(おおばなくんしらん)
- 真白なる襖へ葉先君子蘭 伊藤葦天
群雀(むれすずめ)
晩春
中国原産。晩春に黄色い蝶の形をした小さい花をたくさん咲かせる。
花がたくさん群れ咲く様子から名付けられた。
錦鶏児(きんけいじ)
菜の花
晩春
菜種の花(なたねのはな)、花菜(はなな)
- 菜のはなや一本さきし松のもと 宗因
- 菜の花や月は東に日は西に 蕪村
- 菜畑に花見がほなる雀かな 芭蕉
- かさね着や菜の花かほる雨あがり 白雄
蒲公英(たんぽぽ)
三春
ふじな、たな、白花たんぽぽ、蒲公英の絮(たんぽぽのわた)、鼓草(つづみぐさ)、西洋たんぽぽ、食用たんぽぽ
- たんぽぽや生れたままの町に住み 五所平之助
- 蒲公英のかたさや海の日も一輪 中村草田男
蟒草(うわばみそう)
晩春
イラクサ科の多年草。
日陰の湿地帯に好んで生息する。葉はまわりがギザギザしている。
雌雄異株で、葉腋に黄緑色の小さな花をつける。
秋には茎の節、葉の付け根の部分に黒っぽいこぶ(むかご)ができる。
山菜としてよく知られ、葉や水分の多い茎、むかごが食用になる。
みずな
- 蟒草摘むとき巒気(らんき)迫り来る 田子六華
山吹草(やまぶきそう)
晩春
草山吹(くさやまぶき)
- 藪中や日の斑(ふ)とゆらぐ山吹草 金尾梅の門
- 町までは山吹草の道一里 羽吹利夫
春蘭(しゅんらん)
仲春
シナ春蘭、ほくり、ほくろ、はくり、えくり、報歳蘭(ほうさいらん)
- 春蘭や雨をふくみてうすみどり 杉田久女
- 己が葉の影春蘭に濃かりけり 片岡奈王
蝮蛇草(まむしぐさ)
晩春
サトイモ科の多年草で、全草が有毒である。
蛇の大八(へびのだいはち)、山蒟蒻(やまこんにゃく)
- 水音の涼しまむし草首たてて 有馬籌子
金蘭(きんらん)
晩春
- 金蘭や降りて明るき山の雨 中牟田千代子
- 金蘭に松の洩れ日の吸はれたる 小松崎爽青
金鳳花(きんぽうげ)
晩春
金鳳華(きんぽうげ)、毛莨(きんぽうげ)、うまのあしがた
- 水ひいて畦縦横や金鳳華 原石鼎
- 金鳳華東なぞへに野は展け 大野林火
蛙の傘(ひきのかさ)
晩春
キンポウゲ科の多年草。
湿地に生え、黄色い小さな五弁花をつける。
小金鳳華(こきんぽうげ)
狐の牡丹(きつねのぼたん)
晩春
毛莨(もうこん)
- 狐にも狐の牡丹咲きにけり 相生垣瓜人
- 塔残り狐の牡丹咲乱る 篠田悌二郎
母子草(ははこぐさ)
晩春
鼠麹草(ほうこぐさ)、ははこ、ほうこ
- 老いて尚なつかしき名の母子草 高浜虚子
- 母子草やさしき名なり莟もち 山口青邨
父子草(ちちこぐさ)
晩春
キク科の多年草。
一本伸びた茎の頭頂部に密集して目立たない筒状花をつける。
- こころざし揺らぐに遠き父子草 北光星
- たまさかに子と野に出れば父子草 轡田進
猫の眼草(ねこのめそう)
初春
山猫眼草(やまねこのめそう)、花猫眼草(はなねこのめそう)、蔓猫眼草(つるねこのめそう)、深山猫眼草(みやまねこのめそう)
- 雪解山夜の貌して猫目草 吉田鴻司
ちゃるめる草(ちゃるめるそう)
晩春
ユキノシタ科の多年草。
湿地に生え、晩春に黄緑色の、五角形の周りに棘が付いているように見える、変わった形の花を咲かせる。
果実の形がチャルメラに似ていることから名付けられた。
雉蓆(きじむしろ)
仲春
- 藪に入る鎌倉道や雉蓆 青木泰夫
燈台草(とうだいぐさ)
晩春
沢漆(さわうるし)、鈴振花(すずふりばな)
野漆(のうるし)
晩春