今日の季語 2月19日
余寒(よかん)
初春
寒が明け、立春を過ぎてからも、なお残る寒さのこと。
冬の寒さが続いているという意味がある。
日本ではこの時期に低気圧と高気圧が交互にやってきて、寒気が流れ込んで気温が低下した後に、暖気に覆われて気温が上昇するのを周期的に繰り返す。
そのため、春の暖かさは一進一退しながらやって来る。
同じように立春を過ぎた寒さに「春寒(はるさむ)」もあるが、こちらは春なのに風も冷たく寒いという感じ。
余寒は冬の寒さがなお続いているということで、立秋が過ぎた暑さを「残暑」というのに対応する。
「余寒」の傍題: 残る寒さ(のこるさむさ)
関守の火鉢小さき余寒かな 蕪村
思ひ出て薬湯立てる余寒かな 召波
水に落ちし椿の氷る余寒かな 几董
草の戸の余寒や去らぬみそさざゐ 樗堂
ものの葉のまだものめかぬ余寒かな 千代女
鎌倉を驚かしたる余寒あり 高浜虚子
火口湖の高浪をきく余寒かな 飯田蛇笏
世を恋うて人を恐るる余寒かな 村上鬼城
白日の閑けさ覗く余寒かな 渡辺水巴
三つ星を引据ゑたりし余寒あり 相生垣瓜人
章魚(たこ)うすくそぐ俎(まないた)の余寒かな 鈴木真砂女
鉈(なた)の刃の青く晴れゆく余寒かな 小松崎爽青
余寒なほ爪立ちともすひとりの灯 樋口冨貴子
いつをはるともなき余寒なりしかな 清水芳朗