今日の季語 3月1日
春の雲(はるのくも)
三春

春の夕方の帰り道、空に筋雲が広がっていました。
春の雲は淡く、空一面に薄く刷いたように現れることが多い。
(この筋雲を、巻雲(けんうん)といいます。)
春の薄白く霞がかかっているような浅緑の空に、薄い雲が広がり、のどかで麗らかな春を感じさせる。
昼間にはふんわりと綿のように、空に浮かぶ積雲もよく見られる。
夜にはおぼろ雲が空一面に広がり、月がぼんやりと見える朧月になることもある。
「春の雲」の傍題: 春雲(はるぐも、しゅんうん)
渦潮に日影つくりぬ春の雲 高浜虚子
夕されば春の雲みつ母の里 飯田龍太
行きかよふ春雲堰きてわが居とす 野澤節子
田に人のゐるやすらぎに春の雲 宇佐美魚目
忘れ潮いくたび春の雲通る 大獄青児
鳥声を呑で地に有春の雲 暁台
春の雲ながめてをればうごきけり 日野草城
春の雲相寄るやみな曇りある 加藤楸邨
春の雲しろきままにて降りだしぬ 川島彷徨子
谿ひらけ奥嶺の上に春の雲 八木絵馬
なが旅の水の上ゆく春の雲 原裕
曇りはてず又夕ばえぬ春の雲 正岡子規
春の雲縛を解かれて飛んでをり 上野泰
春の雲塔を仰げばゐざるなり 清崎敏郎
ひかげりて皆打仰ぐ春の雲 松藤夏山