今日の季語 2月12日
春疾風(はるはやて)、春嵐(はるあらし)
三春
春の暖かい南寄りの強風で、嵐のような突風を生じる。
日本の北から入り込んでくる寒気と、南から入り込んでくる暖気がぶつかって上昇気流が生まれ、日本海側に温帯低気圧が急速に発達して北上し、日本列島の広範囲に強風をもたらす。
時雨をともなうと春の嵐、暴風雨になる。
乾燥した地面に強風が吹きつけると、砂嵐のようになる。
この時関東では窓を閉め忘れると、部屋の中まで砂だらけになってしまうことがある。
学校の校庭でも土埃をあげて吹き荒れる。
強風で砂塵が巻き上げられると「春塵(しゅんじん)」になります。
強い南風が山脈を越えて日本海側に乾いた高温の風をもたらすと、「フェーン」となり火災に注意が必要になります。
また台風並みの暴風になることもあり、海での遭難事故や、山で雪崩や遭難の危険がある。
立春(二月四日ころ)から春分(三月二十一日ころ)までの間に、日本海側に低気圧が発達し広い範囲で初めて吹く、暖かく強い南風のことを「春一番」といいます。
「春疾風」の傍題: 春荒(はるあれ)、春嵐(はるあらし)、春突風(はるとっぷう)、春烈風(はるれっぷう)、春はやち、春飈(はるはやて)
- 今のわがこころに似たり春嵐 阿部みどり女
- 春疾風屍(かばね)は敢て出でゆくも 石田波郷
- 灯台の玻璃(はり)悉(ことごと)く鳴り春颷 瀧春一
- 鎌倉の草庵春の嵐かな 高浜虚子
- 春疾風ともども鳩の舞ひ交へる 久保田万太郎
- 春飈(はるはやて)ききゐて沼へ下りゆかず 加藤楸邨
- ネクタイの端が顔打つ春疾風 米澤吾亦紅
- 雪山を浮べて春の飈(はやて)村 森澄雄
- 春はやて遠ちの楢山揺れてをり 蒲幾美
- 戸鳴りして昼を灯すや春嵐 及川貞
- 畔ゆきて医師のよろめく春疾風 豊田まこと
- 春疾風喪服を吊りし一夜明く 横山房子