今日の季語 2月15日
流氷(りゅうひょう)
仲春
北海道のオホーツク海沿岸では、北から漂流する流氷を見ることができる。
(オホーツク海海域…宗谷岬から紋別、網走、知床半島、納沙布岬までの間。)
この流氷は、サハリン北東部の海が凍って氷塊となって南下するうち、シベリアの冷たい季節風に当たって成長し、北海道に流れ着くものである。
氷塊がぶつかりあうと独特のきしむ音をたてる。
流氷接岸初日とは、流氷が沿岸や岸に接している氷に漂着して、船が航行できなくなった日のこと。
また暖かくなるにつれ氷が沿岸から離れて沖へ退いてゆき、流氷の量が半分以下になり、再び船が航行できるようになった日を「海明け」という。
「流氷」の傍題: 流氷期(りゅうひょうき)、流氷盤(りゅうひょうばん)、氷流るる(こおりながるる)
- 流氷や宗谷の門波(となみ)荒れやまず 山口誓子
- 流氷に委ねてなげき遠ざかる 軽部烏頭子
- 流氷の来る前ぶれの夜々の凪 金子幽霧
- 流氷のひそかに動く月明り 斉藤北峰
- 流氷の引きたる怒濤あらたなり 佐藤瑠璃
- 月光の流氷湾を出でず揉む 駒木逸歩
- 流氷に追はれ来し船夕焼けて 河合未光
- 流氷期湯浴児くるむ白タオル 大平照子
- 国後島(くなしり)が見ゆ流氷の渚にて 北野登
- 流氷のひしめき去りて夕迫る 広瀬一朗
- 流氷や静かに蒼き輓馬(ばんば)の眼 村田青麦
- 流氷のいたるところに朝日出づ 勝又木風雨
- 流氷を追ふ灯台の灯の翼 岡部六弥太
- 夜の底の流氷きしむ音にこそ 米田双葉子