今日の季語 2月3日
薄氷(うすらい)
初春
春先に薄く張る氷のこと。日が当たるとすぐに解けて消えてゆく。
解けて残った氷を、残る氷という。
やがて消えゆくという、繊細ではかない印象の語である。
昔、連俳の時代には冬の季語であったが、明治時代以降に春の季題となった。
同じように「淡雪(あわゆき)」も春の季語。
「薄氷」の傍題: 残る氷(のこるこおり)、春の氷(はるのこおり)、薄氷(うすごおり)
佐保川に凍りわたれる薄ら氷の薄き心を我が思はなくに
(原文・宇須良婢、うすらび)万葉集 巻二十 大原櫻井真人
- うすらひやわづかに咲ける芹の花 其角
- 薄氷の草を離るゝ汀かな 高浜虚子
- 薄氷や山茶花散り込む手水鉢 寺田寅彦
- 眠りては時を失ふ薄氷 野見山朱鳥
- 薄氷を昼の鶏鳴渡りゆく 野澤節子
- 薄氷の消ゆるあたりのうすあかり 小林康治
- 指一つにて薄氷の池うごく 後藤比奈夫
- 薄氷そつくり持つて行く子かな 千葉皓史
- 薄氷の岸はなれゆくひとり旅 相田光夫