6月の季語|仲夏、六月の時候の季語

二十四節気-仲夏

仲夏は、夏の三ヶ月を初夏、仲夏、晩夏と分けたときの半ばの一ヶ月で、ほぼ六月にあたります。

二十四節気では芒種、夏至の期間(六月六日頃から七月六日頃)になります。

今回は夏の時候の季語のなかでも、仲夏に分類される季語を集めました。

まさに今ならではの時候の季語で、一句詠んでみませんか。

三夏の時候の季語
初夏、五月の時候の季語
晩夏、七月の時候の季語

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時候

仲夏(ちゅうか)

仲夏手水と紫陽花

夏の三ヶ月を初夏、仲夏、晩夏と分けたときの半ばの一ヶ月にあたる。
今のほぼ六月(陰暦五月)で、梅雨季である。

六月(ろくがつ)

仲夏田植え

梅雨前線が北上し、南から次第に梅雨入りとなる。
雨や曇りが続き、湿度も高く蒸し暑い日々が続く。

紫陽花が見頃を迎え、雨に濡れて生き生きと咲いている。
田植えがはじまり、植えたばかりの苗のさみどり色が美しい頃である。

六月来る(ろくがつくる)、六月風(ろくがつかぜ)
  • 六月を奇麗な風の吹くことよ 正岡子規
  • 伸びやまぬ六月葛のつめたさよ 松村蒼石
  • 六月や川音高き思川 後藤夜半
  • 六月の雨美しき暮石あり 加藤知世子
  • 六月の瀬田を眩しむゆきかへり 葭葉悦子

皐月(さつき)

仲夏雀と雨

陰暦五月の異名で、ほぼ陽暦の六月にあたる。

早苗月から「さつき」になったという説、早苗、五月雨の「さ」は田植えという意味があるので、「さ月」になったという説がある。

古俳諧では「五月」と書いて「さつき」と読んだ。

傍題の「橘月(たちばなづき)」は橘の花が咲くことから。

傍題の「月見ず月」は、五月雨(さみだれ…仲夏の季語、陰暦五月、今の六月の梅雨季の雨の意)が降り続き、夜空に月を見ることがあまりないことから。

早苗月(さなえづき)、橘月(たちばなづき)、五月雨月(さみだれづき)、月見ず月(つきみずづき)、五月(さつき)、たぐさ月(たぐさづき)
  • 笠しまはいづこ五月のぬかり道 芭蕉
  • たまたまに三日月拝む五月かな 去来
  • 年中の山や五月ののぼり雲 丈草
  • 深川や低き家並みのさつき空 永井荷風
  • 庭土に皐月の蠅の親しさよ 芥川龍之介

芒種(ぼうしゅ)

仲夏

二十四節気の一つで、六月六日頃。

小麦の芒(のぎ)

小麦の芒(のぎ)

「芒」は「のぎ」の意味で、イネ科の植物の先端にある針状の突起のこと。

「のぎ」のある穀物を播く時期ということからきた言葉である。

  • 伊賀山や芒種の雲の不啻(ただならず) 岡本圭岳
  • 芒種とふこころに播かん種子もがな 能村登四郎
  • ささやくは芒種の庭の番(つがひ)鳩 石原八束
  • 芒種なり水盤に粟蒔くとせむ 草間時彦
  • 芒種はや人の肌さす山の草 鷹羽狩行

田植時(たうえどき)

仲夏田植え

稲を苗代(なわしろ)から田に移し植える頃のこと。

地方によっても異なるが、5、6月に行われることが多い。

  • 田植どき夜は月かげ田をわたり 石田波郷
  • 田植季わが雨傘もみどりなす 橋本多佳子

入梅(にゅうばい)

仲夏枝に雨

梅雨に入ること。年によって日にちは異なる。
梅雨入りははっきりしないので、薄曇り細々とした雨が降る日が重なって、いつしか梅雨入りとなっていることも多い。

対して梅雨明けは雷鳴を伴い、その後快晴になりはっきりとわかる場合が多い。

梅雨入り、梅雨明けともに気象庁により発表される。

古暦の雑節の「入梅」は立春から127日目、6月の11、12日頃にあたり、その後の30日間が梅雨になる。農作業の目安として用いられた。

梅雨に入る(つゆにいる)、梅雨入り(ついり)、梅雨はじまる(つゆはじまる)、梅雨の気配(つゆのけはい)
  • 焚火してもてなされたるついりかな 白雄
  • 桑の木に桑茸生ふるついりかな 西山泊雲
  • 世を隔て人を隔てゝ梅雨に入る 高野素十
  • 樹も草もしづかにて梅雨はじまりぬ 日野草城
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梅雨寒(つゆさむ)

仲夏冷たい雨

梅雨の頃に低温になること。
梅雨の時期には時折、北からのオホーツク海気団の勢力が強くなり、気温が下がり冷雨となる。

梅雨寒が続くと、冷害を引き起こすこともある。

梅雨寒し(つゆさむし)、梅雨冷え(つゆびえ)、寒き梅雨(さむきつゆ)
  • とびからす病者に啼いて梅雨寒し 石橋秀野
  • 梅雨冷や崖田にねまる出羽の山 角川源義
  • よるべなう螻蛄(けら)も水掻く梅雨寒き 金尾梅の門
  • しみじみと見て梅雨寒の田の面かな 牧瀬蟬之助

夏至(げし)

仲夏夏至-太陽黄経

二十四節気の一つで、六月二十一日頃。

太陽黄経が九十度になるため、北半球では太陽が最も高く、一年で最も日が長くなる。
(南半球では逆に最も日が短くなる。天文学的には夏至というが、慣習的に南半球では冬至ということもある。)

梅雨のさなかであるため、実際の日照時間は短くなることが多い。
曇天ながら日が沈むのが遅く、薄暮に独特の風情を感じる頃である。

夏至の日(げしのひ)、夏至の雨(げしのあめ)、夏至の夜(げしのよる)、夏至夜風(げしよかぜ)、夏至白夜(げしびゃくや)
  • 眠たさのあまりて夏至や夜と昼 正在
  • 夏至白夜浪たちしらむ漁港かな 飯田蛇笏
  • 池水のにほひに夏至の夜風かな 武田鶯塘
  • 夏至の雨山ほととぎす聴き暮らし 田村木国
  • 夏至の砂浴びてどこかへ雀去(い)ぬ 上村占魚
  • 夏至の空明るし月の昇りゐて 若月瑞峰

白夜(はくや)

仲夏白夜

北極や北緯度の高い地域では、夏至の前後に太陽が完全に沈まず、夜も明るい期間がある。
(北極圏で白夜となる頃、南極圏では極夜となる。)

白夜(びゃくや)
  • 菩提樹の並木あかるき白夜かな 久保田万太郎
  • 寺の塔宙をつんざく白夜かな 阿波野青畝
  • わが泊つる森のホテルの白夜なる 山口青邨
  • 日暮とも夜明とも雲上の白夜航 福田蓼汀
  • 街白夜王宮は死のごとく白 橋本鶏二
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半夏生(はんげしょう)

仲夏

七十二候の一つで、夏至のうち第三候にあたり、七月二日頃。
(夏至…乃東枯(なつかれくさかるる)、菖蒲華(あやめはなさく)、半夏生(はんげしょうず))

カラスビシャク

カラスビシャク

半夏という薬草「カラスビシャク(烏柄杓)」が生ずる頃という意味。
「半夏半作」といい、この日までに田植えを終わらせないと収穫が半分になるといって田植えの終わりの目標とした。

この日は天から毒が降るので井戸に蓋をし野菜を食べず、竹の節に虫が生ずるので筍を食べない、竹林に入ってはいけないなどの物忌みをしたり、豊凶を占ったりする風習がある。

またこの期間は働いてはいけないとされ、田植えの繁忙期で疲れた体を休める先人の知恵といわれている。

半夏生の日の雨は大雨になるといわれ、「半夏雨」といった。

半夏(はんげ)、半夏雨(はんげあめ)、半夏生ず(はんげしょうず)
  • 竹の子に笠きせやらん半夏生 蓼太
  • 湯沸してつかはずにゐる半夏生 能村登四郎
  • 六白の月司る半夏生 加倉井秋を
  • 半夏雨塩竈夜景母のごと 佐藤鬼房
  • いつまでも明るき野山半夏生 草間時彦
この記事を書いた人
こよみ

このサイトではテーマごとに季語を集め、画像とともに一目でわかりやすいようにまとめました。季語の持つ多彩な魅力をぜひお楽しみください。

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