夏の花の季語・初夏(白)

白いユリ

夏の花の季語、第二回目は「初夏」「三夏」に分類される、白色系統の花を集めました。

花色が豊富にある種類も多いので、ここにない場合は他の色の花のページもぜひご覧ください。
夏の花の季語・初夏(赤、ピンク)
夏の花の季語・初夏(青、紫)
夏の花の季語・初夏(黄、オレンジ、その他)

スポンサーリンク

植物

利休梅(りきゅうばい)

初夏リキュウバイの花

中国原産のバラ科の落葉低木。
五月頃に枝先に4cmほどの純白の五弁花をつける。

牧野富太郎が名付けた梅花下野(ばいかしもつけ)という和名もある。

利久梅(りきゅうばい)
  • 利休梅五十はつねの齢ならず 石田波郷
  • 風の吹くたび眼が濡れて利休梅 長谷川双魚
  • 古稀の師の艶よき頬や利休梅 田川節代

繍毬花(てまりばな)

初夏オオデマリ

スイカズラ科の落葉低木。
山野に自生するヤブデマリの園芸品種で、白い手毬のような花をつけるところから、オオデマリとも呼ばれる。

紫陽花に似ているが、紫陽花の花に見えるところは萼なのに対し、繍毬花の花は花びらである。

粉団花(てまりばな)、おおでまり、手毬の花(てまりのはな)、花てまり
  • 大でまり小でまり佐渡は美しき 高浜虚子
  • 曇天の耐へに耐へをる大手まり 篠田悌二郎
  • 雨の日は雨の色得つてまり花 山田佐人
  • 母ありし日暮れのごとしおほでまり 上野波翠

泰山木の花(たいさんぼくのはな)

初夏タイサンボクの花

北米原産のモクレン科の常緑高木。
五~六月頃、15cmほどもある大きな白い九弁の花を咲かせる。

花は香り高く、葉は長い楕円形で表面に光沢がある。
ハスの花形に似ていることから、白蓮木(はくれんぼく)の別名もある。

大山木の花(たいさんぼくのはな)、大盞木の花(たいさんぼくのはな)
  • 泰山木白波のごと崩れ去りぬ 木下杢太郎
  • 泰山木樹頭の花を日に捧ぐ 福田蓼汀
  • 泰山木巨らかに息安らかに 石田波郷
  • 妻と居れば泰山木に海の闇 佐野まもる
  • あさの客泰山木を挿してまつ 及川貞
  • 泰山木咲きつぐ彼方橋懸かる 岡村進一
スポンサーリンク

時計草(とけいそう)

三夏トケイソウの花

南米原産のトケイソウ科のつる性常緑低木。
花の形を時計の文字盤に、シベの部分を針に見立てて名付けられた。

花は香りがあり、日中に開いて夜にはしぼんでしまう。

ぼろんかずら
  • 鐘撞(かねつき)の窓に開くや時計草 花晩
  • 時計草たそがれ長きことは知る 後藤比奈夫
  • 午後となり花そり返り時計草 山本螢村

柑子の花(こうじのはな)

初夏

柑子蜜柑(こうじみかん)と呼ばれる在来種の蜜柑のこと。
耐寒性が強く、東北地方にも分布している。

初夏に白い五弁花を咲かせる。実は小さくて酸味が強い。

  • 門を出ず見るや柑子の花盛 貞徳
  • 雲の上のぞく富士あり花柑子 籾山梓月

蜜柑の花(みかんのはな)

初夏みかんの花

温州みかんに限らず、古くから栽培されてきた蜜柑類の花のことをいう。
主に暖地で海に近い山の斜面に栽培されている。

初夏に枝先の葉腋(ようえき)に白い五弁花を咲かせる。
花はジャスミンに似た香りを放つ。

花蜜柑(はなみかん)
  • ある露地に蜜柑の花の香の流れ 藤後左右
  • うたゝねをわが許されて蜜柑咲く 中村汀女
  • 旅一夜蜜柑の花を枕辺に 山口波津女
  • 駅降りてすぐに蜜柑の花の中 加倉井秋を
  • 説法の座に匂ひくる花蜜柑 山口超心鬼
スポンサーリンク

九年母の花(くねんぼのはな)

初夏

ミカン科の常緑低木で、初夏に白い五弁花を咲かせる。
インドシナ半島原産。果実は皮が厚く独特の香りがある。

香橘の花(こうきつのはな)

仏手柑の花(ぶしゅかんのはな)

初夏

インド原産のミカン科の常緑低木。
初夏に白色の五弁花を円錐状に咲かせる。

仏手柑の実

仏手柑の実

果実の形が、手の指が集まったように見えることから名付けられた。

夏蜜柑の花(なつみかんのはな)

初夏

ミカン科の常緑低木。
初夏に香りのある白い五弁花を咲かせる。

果実は秋に熟すが、酸味が強いため木に残しておき、翌年に花が咲く頃に収穫する。早く収穫する場合は保存し追熟させる。

山口県長門市の仙崎大日比には夏蜜柑の原木があり、天然記念物に指定されている。

スポンサーリンク

朱欒の花(ざぼんのはな)

初夏

ミカン科の常緑低木で、大きな果実が実る。
初夏に香りの良い白色五弁花を咲かせる。

花朱欒(はなざぼん)
  • 風かをり朱欒咲く戸を訪ふは誰ぞ 杉田久女
  • 朱欒咲く築地(ついぢ)の内も坂ならむ 殿村菟絲子
  • べつとりと昏るる内海ザボン咲く 山下淳
  • 海よりの月光このむ花朱欒 矢野月笙

栗の花(くりのはな)

初夏栗の花

ブナ科の落葉高木で、日本各地の山地に自生する。
初夏に長さ10~15cmの黄白色の花穂を垂らす。独特の匂いがある。

花穂には雄花が密生し、基部に雌花がつく。
授粉すると雄花は褐色になり落ちる。

花栗(はなぐり)、栗咲く(くりさく)
  • 世の人の見付ぬ花や軒の栗 芭蕉
  • 逗留の窓に落つるや栗の花 去来
  • 栗の花天のどこかにいなびかり 篠田悌二郎
  • 栗咲く香水底のごと曇り来て 岡田貞峰

卯の花(うのはな)

初夏ウツギの花

ウツギの花。アジサイ科ウツギ属の落葉低木で、日本各地の山地に自生する。
初夏に枝先に小さな白い五弁花を咲かせる。

空木の花(うつぎのはな)、卯の花垣(うのはながき)、箱根うつぎ(はこねうつぎ)、黄花うつぎ(きばなうつぎ)、うこんうつぎ、錦うつぎ(にしきうつぎ)、谷うつぎ(たにうつぎ)、藪うつぎ(やぶうつぎ)、びろうどうつぎ、花仰木(はなうつぎ)
  • 卯の花や妹が垣根のはこべ草 蕪村
  • 卯の花や彳(たたず)む人の透き通り 麦水
  • 押しあうて又卯の花の咲きこぼれ 正岡子規
  • 空は我を生みし蒼さや花卯つ木 渡辺水巴
  • 卯の花や厨の灯今は消え 山口青邨
  • 卯の花や流るるものに花明り 松本たかし
  • 夕日いま卯の花垣に移りけり 平川巴竹

忍冬の花(すいかずらのはな)

初夏スイカズラの花

常緑性のつる性植物で、花に甘い蜜があるためその名がついた。
長い楕円形の葉の葉腋に、白く細長い筒型の花を咲かせる。

良い香りのする花は二つずつ並んで咲き、白から黄色へと変化する。
そのため金銀花とも呼ばれる。

忍冬の花(にんどうのはな)、吸葛(すいかずら)、金銀花(きんぎんか)
  • 雨ぐせのはやにんどうに旅二日 石川桂郎
  • すひかづら今来し蝶も垂れ下り 東中式子
  • 灯をこぼし香を点じたり金銀花 見市六冬
  • すひかづら屋根のかなたの椎の群 志摩芳次郎
  • 朝風に吹かれはじめの忍冬 河野友人

茨の花(いばらのはな)

初夏イバラの花

山野に自生するバラ科の落葉小低木。
つる性のトゲのある枝に、白または淡紅色の香りのある五弁花を咲かせる。

花びらはハート形をしている。
秋には赤い実をつける。

花茨(はないばら)、花うばら(はなうばら)、野いばらの花(のいばらのはな)、野ばらの花(のばらのはな)、茨の花垣(ばらのはながき)
  • 花いばら故郷の路に似たるかな 蕪村
  • 愁ひつゝ岡に上れば花茨 蕪村
  • 道のべの低きにほひや茨の花 召波
  • 雷雲を待つや野茨のしづけさは 大野林火
  • 雲うごく茨の花の咲き散る日 野田別天楼
  • 花うばらふたたび堰にめぐり合ふ 芝不器男

油桐の花(あぶらぎりのはな)

初夏

中国より渡来したトウダイグサ科の落葉高木で、種子から油を採るために栽培された。
現在では放置され山地に野生のまま残されている。

初夏に白い五弁花を枝先に円錐状に咲かせる。
葉は大きく、アオギリに似ている。

山桐(やまぎり)、どくえ、いぬぎり

朴の花(ほおのはな)

初夏朴の花

山地に自生するモクレン科の落葉高木。
葉が大きく殺菌作用があり熱にも強いことから、朴葉寿司、朴葉焼きなどに使われる。

六月頃に芳香のある、黄白色で九弁の大きな花を咲かせる。
秋の終わりには紅紫色の大きな実をつける。

大朴の花(ほおのはな)、朴散華(ほおさんげ)
  • 朴の花しばらくありて風渡る 高野素十
  • 朴散華即ちしれぬ行方かな 川端茅舎
  • 一と枝に一花の朴の咲きほぐれ 瀧井孝作
  • 火を投げし如くに雲や朴の花 野見山朱鳥
  • 渓(たに)とざす霧にたゞよひ朴咲けり 相馬遷子

槐の花(えんじゅのはな)

初夏エンジュの花

マメ科の落葉高木で、初夏に淡黄白色の蝶形の花を咲かせる。
街路樹や庭木として用いられている。

えにす
  • 寿を守る槐の木あり花咲きぬ 高浜虚子
  • 一夜一夜星高くある槐かな 長谷川零余子
  • 葉がくれの星に風湧く槐かな 杉田久女
  • 槐咲く峡やさだかに雲のみち 西島麦南
  • 裏切りもときに美し花槐 丸山しげる

栃の花(とちのはな)

初夏トチの花

山地に自生するトチノキ科の落葉高木。
五月頃に枝の先に、大きな白い円錐花序の花を立たせて咲く。

熟した種子から「とち餅」を作るのに利用される。

橡の花(とちのはな)
  • 仰ぎみる樹齢いくばくぞ栃の花 杉田久女
  • 山砂の流れ止めて橡咲けり 長谷川かな女
  • 橡咲けり白峰(しらね)北岳を見る岨(そば)に 水原秋櫻子
  • 墓地の道乾きて冷えぬ栃の花 向笠和子
  • 栃の花夜雲にはかに雷を連れ 河野南畦

マロニエの花

初夏マロニエの花

地中海原産のトチノキ科の落葉高木。セイヨウトチノキ。
初夏に小枝の先に、円錐状に小さな花が集まって咲く。

薄い赤みを帯びた白色や、赤やピンクのものもある。

  • 唯行つてゐしマロニエのヨーロッパ 京極杞陽
  • 花マロニエ降る雨港かくしたる 平間真木子

水木の花(みずきのはな)

初夏ミズキの花

山地に自生するミズキ科の落葉高木。
五月頃に、枝上に白色四弁の小さい花をたくさん咲かせる。

ハナミズキとは別種だが、水木の花のことを「花水木」と用いる場合もあるので注意。

  • 水木咲き枝先にすぐ夕蛙 森澄雄
  • 田仕事のふたりひとりや水木咲く 森田公司
  • 一風にさはだつ森の大みずき 品田美須子
  • 多摩川のゆるりと曲り水木咲く 梅田昌子

アカシアの花

初夏ニセアカシアの花

本来「アカシア」はオーストラリアなどに分布する黄色い柔らかい花を咲かせるものをいうが、日本ではニセアカシア(和名・針槐、ハリエンジュ)のことをアカシアと呼んでいたため、ここでもニセアカシアのことを指す。

北アメリカ原産のマメ科の落葉高木。
五月頃に、白い藤に似た花を房状に垂れて咲かせる。

針槐(はりえんじゅ)、ニセアカシア
  • アカシヤの庵主が愛づる喧嘩蜂 竹下しづの女
  • アカシヤの花こぼれ敷き露人住む 北添鏡川
  • アカシア散る養育院に犬育ち 秋元不死男
  • 麦酒庫アカシヤの花窓に垂れ 山野辺としを
  • アカシアの花降る中に兵の墓 門前ふみ
  • 遠富士にニセアカシヤの花ざかり 飯田龍太
  • 花アカシヤ星座は秋に似て遠し 菊地滴翠
  • そよ風はアカシヤの花を緑にす 秦野竹阜

大山蓮華(おおやまれんげ)

初夏オオヤマレンゲ

東アジアの温帯に分布し、日本でも山地に自生するモクレン科の落葉低木。
初夏に枝の先に香りのある白い花を咲かせる。中央の鮮やかな紅色の蕊が特徴。

奈良県の大峰山(おおみねさん)、八経ヶ岳には大群生地があり、天然記念物に指定されている。

天女花(おおやまれんげ)、深山蓮華(みやまれんげ)

  • 夏館大山蓮華活けてあり 片岡奈王
  • 大空に天女花(おおやまれんげ)ひかりたれ 原石鼎
  • 山霧に天女花とは浮びけり 小路初子
  • 大山蓮華渓のくらきを鳴る水音 土屋紫信
  • 方丈や大山蓮華活け香る 坂田天耳
  • 隠し田のほとりの深山蓮華かな 沢村昭代

桷の花(ずみのはな)

初夏ズミの花

山地や湿原に自生するバラ科の落葉小高木。

枝先に、カイドウやナシに似た白い小花を多数つける。
つぼみは紅色を帯びている。

秋に赤く小さい実がなり、果実酒などに利用される。

小梨の花(こなしのはな)
  • たちよれば深山ぐもりに桷の花 飯田蛇笏
  • 小梨咲き鳳凰山塊朝蒼し 水原秋櫻子
  • 桷の花あさきねむりに朝の雨 赤尾兜子
  • 枝に置く巣箱あたらし桷の花 山田みづえ

女貞の花(ねずみもちのはな)

三夏ネズミモチの花

山地に自生するモクセイ科の常緑小高木。
庭木や生垣に用いられる。

六月頃に枝先に白い小花を円錐状に咲かせる。
秋には暗紫色の実をつける。

  • ねずみもち咲き終日の片曇 福永耕二
  • くれがたの雨こまかなりねずみもち 三宅応人

海桐の花(とべらのはな)

三夏トベラの花

暖地の海岸に自生するトベラ科の常緑低木。
葉は厚みがあり長楕円形をしている。

六月頃に枝の頂に小さく白い五弁花が集まって咲き、徐々に黄色に変化する。
枝や花から独特の匂いがする。節分に枝を扉にさして鬼を追い払う風習がある。

花とべら
  • 十まりの蛸壺さらす花海桐 福島小蕾
  • 海の鳥来て巌穢す花海桐 米澤吾亦紅
  • 海桐咲く闇に沖航(ゆ)く船まぶし 河野南畦

庭石菖(にわぜきしょう)

初夏ニワゼキショウの花、白とピンク

四月から七月にかけて、草地などに白または淡紫色の星型の花を咲かせる。
朝開いて夕方にはしぼんでしまう一日花。

  • 濃き日ざし庭石菖を咲き殖(ふや)す 上村占魚
  • 庭石菖尚咲き露を輝かせ 高橋金窗

マーガレット

初夏マーガレットの花

カナリア諸島原産のキク科の多年草。
花色は豊富で、3〜6cmほどの花を咲かせる。大きく育つと木質化してくる。

  • マーガレット何処にも咲いて蝦夷も奥 高浜年尾
  • 背負籠にマーガレットをのぞかせて 清崎敏郎
  • 夕闇にマーガレットの花の数 成瀬正とし
  • マーガレット照りかげるより沖の雷 田中敦子
  • マーガレット咲く道を行き君を祝ぐ 藤岡筑邨

カラー

初夏カラーの花、群生

南アフリカ原産のサトイモ科の多年生草本。
五月から六月頃、純白の大きな仏炎苞に包まれた棒状の両性花を咲かせる。

庭の水辺に植えられたり、切花として花束にもよく用いられる。

海芋(かいう)
  • 波音をはこぶ風ある海芋かな 加藤松薫
  • 島の甍(いらか)ひかり洽(あまね)し海芋見ゆ 西村逸朗
  • 木がくれの海芋の花を仏間より 藤村克明

玉簾の花(たますだれのはな)

三夏タマスダレの花

中南米原産のヒガンバナ科の球根草花。
草丈30cmほどで、七月頃上向きに白い六弁花を咲かせる。

花は朝開いて夜には閉じる。

  • 新月や夜は花とづる玉すだれ 藤井静枝
  • 教会の戸開けて無人玉すだれ 貞弘衛
  • しろじろと行きつめてをり玉すだれ 伝田藍

百合(ゆり)

初夏白いユリ

ユリ科ユリ属の多年草の総称。
ユリ属は約100種類あり、15種が日本に自生しており、うち7種は日本特産種である。

テッポウユリ、ヤマユリ、スカシユリ、カノコユリなどの系統がある。

高山の「黒百合(くろゆり)」と、早春の茶の花「貝母(ばいも…アミガサユリ)」はともにユリ科バイモ属なので、別種です。

万葉集では、百合に寄せての恋歌が多く詠まれている。
後刻、後日を意味する「後(ゆり)」と同音なのにかけている歌が多い。

吾妹子(わぎもこ)が家の垣内(かきつ)の小百合花(さゆりばな) 後(ゆり)と言へるは不欲(いな)とふに似る
万葉集巻八、1503 紀朝臣豊河

山百合(やまゆり)、鬼百合(おにゆり)、天蓋百合(てんがいゆり)、小鬼百合(こおにゆり)、菅百合(すげゆり)、姫百合(ひめゆり)、黄姫百合(きひめゆり)、鹿の子百合(かのこゆり)、滝百合(たきゆり)、笹百合(ささゆり)、さゆり、透百合(すかしゆり)、鉄砲百合(てっぽうゆり)、さく百合(さくゆり)、車百合(くるまゆり)、竹島百合(たけしまゆり)、白百合(しらゆり)、紅百合(べにゆり)、百合の香(ゆりのか)
  • ひだるさをうなづきあひぬ百合の花 支考
  • ゆりあまた束ねて涼し伏見舟 召波
  • 百合の香や人待つ門の薄月夜 永井荷風
  • 百合白く雨の裏山暮れにけり 泉鏡花
  • くもの糸一すぢよぎる百合の前 高野素十
  • 山百合を捧げて泳ぎ来る子あり 富安風生
  • 百合の蘂みなりんりんとふるひけり 川端茅舎
  • 深山雲湧きたつ百合の真昼かな 有泉七種

山葵の花(わさびのはな)

初夏ワサビの花

アブラナ科の多年草で、地下茎を香辛料として用いる。
山地の渓流に自生するが、多くは山地の清水を用いて栽培されているものである。

五月頃に白色の四弁花を咲かせる。

  • 靄(もや)深き足もとよりぞ花山葵 岡本癖三酔
  • 滝しぶきまひて山葵の花濡らす 富安風生
  • 尋ねくれば山葵咲くあり沢ひそか 松本たかし
  • 水さはに走り山葵田花ささぐ 村山古郷
  • 山葵咲き巌息づける冷気かな 橋本鶏二

鈴蘭(すずらん)

初夏スズランの花

五月頃に白い小さな釣鐘型の花を総状につける。
芳香があり、林の下などに自生している。庭に植える場合、半日陰などに用いられる。

栽培品は花の大きいドイツ鈴蘭である。

君影草(きみかげそう)
  • 鈴蘭の谷や日を漉く雲一重 中村草田男
  • 鈴蘭や径白馬へひとすぢに 武石佐海
  • ふまれずに鈴蘭落ちし道の夜 高木晴子

富貴草(ふっきそう)

初夏富貴草の花

ツゲ科の常緑多年草で、山野の木陰などに自生する。
四月から五月頃、茎の頂に白い細かい花をつける。

一年中常緑で、地下茎をのばして繁殖力が旺盛で丈夫なことから、めでたいという意味の名前がつけられた。

吉字草(きちじそう)、吉祥草(きっしょうそう)
  • 富貴草雨にも茎を立てて咲く 上村占魚
  • 杉を洩る日綾みどりに富貴草 小松崎爽青
  • 敷石のゆふべは濡るる富貴草 新郷登志子

現の証拠(げんのしょうこ)

初夏ゲンノショウコの花

フウロソウ科の多年草で、山林やいたるところに自生している。
葉を煎じて飲むと下痢に効くといい、飲むとたちまち薬効が現れるということから名付けられた。

夏に花茎を伸ばし、白や紅色の小花を二つつける。
種子がはじけた後が神輿の形に似ていることから、神輿草とも呼ばれる。

医者いらず(いしゃいらず)、たちまち草(たちまちそう)、神輿草(みこしぐさ)
  • うちかゞみげんのしようこの花を見る 高浜虚子
  • 手にしたるげんのしようこを萎(しを)れしめ 加藤楸邨
  • 因幡なるげんのしようこは花細し 篠原梵

踊子草(おどりこそう)

初夏オドリコソウ

シソ科の多年草で、山野、道端などの半日陰に群がって生えている。
五月頃、白や淡紅色の唇状の花を、葉腋に数個ずつつける。

踊草(おどりそう)、踊花(おどりばな)、虚無僧花(こむそうばな)
  • 踊子草咲きむらがれる坊の庭 山口青邨
  • 踊子草信濃の雲へ径消ゆる 澤田緑生
  • きりもなくふえて踊子草となる 後藤比奈夫

狐の提灯(きつねのちょうちん)

初夏狐の提灯、ホウチャクソウ

チゴユリ属に分類される多年草で、山林に自生している。

五月頃に3cmほどの白い筒型の花を下向きにつける。
白い花の先端は緑色を帯びている。

宝鐸草(ほうちゃくそう)
(宝鐸とは、堂塔の四隅などに吊るしてある大鈴、風鐸(ふうたく)のことである。)
  • 狐の提灯古みち失せて咲きにけり 水原秋櫻子
  • 崖見よや狐の提灯咲きにける 水原秋櫻子
  • 群れて低き宝鐸草の花覗く 山田みづえ

姫女苑(ひめじょおん)

初夏ヒメジョオン

キク科の越年草で、北アメリカ原産。

枝分かれした先に多数の頭状花をつける。
中央の管状花は黄色く、それを取り巻く舌状花は白または淡い紅色を帯びた白である。

ハルジオン

(比較)ハルジオン

ハルジオンと似ているが、ハルジオンは白い花びらに見える部分がもっと細い。
さらに葉の根元は、茎に抱きつくようについている。

  • 姫女苑しろじろ暮れて道とほき 伊東月草
  • 姫女苑雪崩れて山の風青し 阿部みどり女
この記事を書いた人
こよみ

このサイトではテーマごとに季語を集め、画像とともに一目でわかりやすいようにまとめました。季語の持つ多彩な魅力をぜひお楽しみください。

スポンサーリンク
タイトルとURLをコピーしました