今日の季語 2月6日
春浅し(はるあさし)、浅き春(あさきはる)
初春
二月ころ、立春を過ぎ暦の上で春となってもまだ寒く、本当の春にはまだ遠く感じる、春の初めの頃。
「早春」が立春後しばらくの時候をさす語であるのに対し、「春浅し」には「浅し」という言葉に実感の上での気持ちがこもる。
春浅き雪げの水に袖濡れて沢田のわかなけふぞ摘みつる
伏見院御製 新千載集巻一春上春浅きすずのまがきに風さえてまだ雪消えぬ信楽の里
西行 山家集
「春浅し」の傍題: 浅き春(あさきはる)、浅春(せんしゅん)
- 春浅き水を渡るや鷺一つ 河東碧梧桐
- それ以来誰にも逢はず春浅し 鈴木花蓑
- 白き皿に絵の具を溶けば春浅し 夏目漱石
- 眺めやる野水の行方(ゆくへ)春浅し 松本たかし
- 春浅き白飯に湯をそそぐなり 本宮銑太郎
- よき衣のつめたき裏や春浅し 田中鬼骨
- 病牀の匂袋や浅き春 正岡子規
- 春浅き灯を神農にたてまつる 飯田蛇笏
- 春浅し空また月をそだてそめ 久保田万太郎
- 春浅き端山に入りて深山見ゆ 谷野予志
- 春浅き峠とのみの停留所 八木林之助
- 春浅し伏目遠目の夢二の絵 有馬籌子
- 供花のかく春あさきものまじへたる 西山誠
- 春浅し寺の奥より川みえて 井上雪
- 春浅く雲になじまぬ海猫の声 伊藤凍魚
- 春浅し相見て癒えし同病者 石田波郷