晴れ、日和の季語一覧

チューリップ畑と青空

それぞれの季節で、「晴れ、晴天、日和」に関する季語をまとめました。

日和(ひより)には晴天という意味のほか、空模様、物事の成り行きや形勢という意味もあります。
ここでは晴天や穏やかな気候という意味で、季語になっている言葉を取り上げました。

晴れた空を見上げて、ぜひ一句詠んでみてください。

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春日和(はるびより)

三春

菜の花と人々

幸手権現堂桜堤

おだやかに晴れた春の天気のこと。

春の日和(はるのひより)

春日和なにせんといふ事もなく 呉地ぬい
手をとりて春の日和の爺と婆 吉田藤治

木の芽晴(このめばれ)

三春木の新芽

「木の芽時(このめどき)」という、木々が芽吹く時という意味の時候の季語の傍題。
木の芽時の晴れ。

垣外より声かけて行く木の芽晴 芹沢雪江

風光る(かぜひかる)

三春若葉と光

晴れた春の日に、やわらかい風が吹き渡ること。
春の日のまばゆい明るさに、風が光ると感じられる。

光風(こうふう)、風やわらか

風光る入江のぽんぽん蒸気かな 内田百閒
風光るや流れ流れて蜘の糸 星野麦人
風光るつがひ白鳥首からめ 高橋好子
覇王樹の影我が影や風光る 飯田蛇笏
山を吹き風を吹きては風光る 植田房子

凧日和(たこびより)

三春凧揚げする子ども

「凧(たこ)」の傍題。
凧揚げをするのによい春の日和のこと。

梅雨晴(つゆばれ)

仲夏日傘の女性、アジサイ

梅雨の晴れ間、もしくは梅雨が明けて晴天が続くようになったことをいう。

梅雨晴間(つゆはれま)、梅雨の晴(つゆのはれ)、梅雨晴る(つゆはる)

つゆばれや鰤つくらぬ門もなし 蓼太
入雨(つゆ)晴れや二軒並んで煤払ひ 一茶
梅雨晴の山を見上る嗽(うが)ひかな 水落露石

五月晴(さつきばれ)

仲夏

五月を「さつき」と読む場合は陰暦のこととなので、梅雨の時期となり、梅雨の晴れ間をさす言葉。
現在では陽暦の五月の晴れ渡った日をいうことが多い。

うれしさや小草影もつ五月晴 正岡子規
倒(さか)さ富士まこと湖にあり五月晴 赤星水竹居
かしは手の二つ目は澄み五月晴 加藤知世子

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夕立晴(ゆうだちばれ)

三夏夕方の虹

「夕立(ゆうだち)」の傍題。
夕立の後にすっきりと晴れ渡ること。

若葉晴(わかばばれ)

初夏木立

「若葉(わかば)」初夏の植物の季語の傍題。
若葉の時期の晴れた天気。

秋晴(あきばれ)

三秋コスモスと青空

秋日和(あきびより)、秋晴るる(あきはるる)、秋の晴(あきのはれ)

秋晴の岬や我れと松一つ 渡辺水巴
橋くぐる艪(ろ)音こまかに秋日和 星野立子
秋晴のどこかに杖を忘れけり 松本たかし

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菊日和(きくびより)

仲秋大輪の菊の花

俄かなるよべの落葉や菊日和 原石鼎
長話呵々と終りや菊日和 中田みづほ
とりいでて墨とあそべり菊日和 水原秋櫻子
やがてくる雪を思へり菊日和 阿部慧月

野分晴(のわきばれ)

仲秋

「野分(のわき)」(秋の暴風で、草木を吹き分けるという意味。おもに台風をさす)の傍題。
野分の後にからりと晴れること。

鵙の晴(もずのはれ)、鵙日和(もずびより)

三秋秋の鵙

「鵙(もず)」の傍題。
鵙はキーイッ、キーイッと鋭い声で鳴くので、それが秋の澄んだ空に響き渡る様子から鵙日和、鵙の晴という。

柿日和(かきびより)

晩秋柿と青空

柿の熟す晩秋の晴れた日のこと。

茸日和(きのこびより)

晩秋きのこ

秋のきのこが旬の頃の、よく晴れた日のこと。

鯊日和(はぜびより)

三秋

マハゼ

真鯊(まはぜ)

鯊釣りによい秋晴の日のこと。

綿日和(わたびより)

仲秋綿花

秋、綿花の収穫期に、よく晴れた日のこと。

冬晴(ふゆばれ)

三冬

吾妻小富士

吾妻小富士

冬日和(ふゆびより)、冬麗(ふゆうらら)、冬晴るる(ふゆはるる)

鉄橋に水ゆたかなる冬日和 飯田蛇笏
冬うらら空より下りて鷗どり 三好達治
冬晴や朝かと思ふ昼寝ざめ 日野草城
冬麗や汐に漂ふ松ぼくり 鈴木真砂女

寒晴(かんばれ)

晩冬

厳冬期、寒の内の晴天のこと。

寒日和(かんびより)

寒晴れが瓶のあんずに及ぶかな 細見綾子

凍晴(いてばれ)

三冬樹氷と青空

「冱つる(いつる)」寒さで凝結することで、凍るという意味の時候の季語の傍題。
凍りつくような寒さの中の晴れ。

霜晴(しもばれ)、霜日和(しもびより)

三冬

「霜(しも)」の傍題。
霜の降りた日の晴れ。

空色の山は上総か霜日和 一茶

雪晴(ゆきばれ)

晩冬雪道と青空

雪が降り積もった中での晴天。

深雪晴(みゆきばれ)、雪後の天(せつごのてん)

雪晴れて蒼天落つるしづくかな 前田普羅
雪晴の日ざしまともに机かな 五百木瓢亭
雪後の天いきいきと掌の紅林檎 角川源義
雪晴れに足袋干すひとり静かなる 沢木欣一

風花(かざはな)

晩冬風花、晴天の雪と木立

冬の晴天にちらつく雪のこと。
晴れて青空が広がっている中、遠く山岳地方の風雪によって、風下の地方にも吹き送られてくる雪片。

吹越(ふっこし)、かぜはな、かざばな

風花のかかりて青き目刺買ふ 石原舟月
吹越に大きな耳の兎かな 加藤楸邨
風花の華やかに舞ひ町淋し 松本たかし
風花や夕枯櫟(くぬぎ)たゞよはす 森澄雄

お講日和(おこうびより)

初冬

「御講凪(おこうなぎ)」の傍題。
御講とは親鸞忌(陰暦十一月二十八日)に京都西本願寺、東本願寺にて行われる大法会のことで、このころに穏やかな日和が続くことが多い。

小春日和(こはるびより)

初冬晴れの日の山茶花

「小春(こはる、陰暦十月の異称)」の傍題。
春のように暖かい日和が続くこと。

四温日和(しおんびより)

三冬

「三寒四温(さんかんしおん)」の傍題。
三日寒い日が続くと、その後四日暖かい日が続くこと。
その暖かい日のことをいう。

煤日和(すすびより)

仲冬

年末に行う煤払(すすはらい)をするのによい日和のこと。

新年

初晴(はつばれ)

新年富士山と太陽

元日の晴天。
元日に晴れると、五穀豊穣になるといわれ喜ばれた。

初晴にはやきく凧のうなりかな 吉田冬葉
初晴や建礼門を仰ぎ見る 名和三幹竹

羽子日和(はねこびより、はねびより)

新年羽根つきの羽

正月の羽根つき遊びをするのによい日和のこと。

大原のとある農家の羽子日和 飯田蛇笏
産土神や羽子日和なる山の端に 松本たかし
しらたまの肌の湯けむり羽子日和 飯田龍太
白浪のときをりあがり羽子日和 佐々木有風

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