雨上がりの空に虹を見つけると、嬉しい気持ちになりますね。
雨の後に空に大きく架かる虹は、恵みや幸運、希望のしるしとされたり、架け橋、多様性の象徴にもされています。
昔中国では虹は大蛇が天に昇って龍になったものとされ、虫偏に天と地を貫く意味の工で「虹」という漢字になりました。
単に「虹」といえば夏の季語となりますが、それぞれの季節の虹は何というのでしょうか。
虹に関する季語をまとめてみました。
春
春の虹(はるのにじ)
晩春
虹は夏に多く現れるので、夏の季語となっているが、春も半ばを過ぎると見かけるようになる。
二十四節気の清明(せいめい、四月五日ころ)の第三候は「虹始めて見ゆ」。
青苔や膝の上まで春の虹 一茶
初虹や岳陽楼に登る人 尾崎紅葉
春の虹となりの家も窓ひらく 大野林火
初虹や白川道を花売女 中川四明
夏
虹(にじ)
三夏
虹は夏の夕立の後に現れることが多いため、夏の季語となっている。
空気中の細かい水滴に光が当たり、外側から赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の七色の半円ができる。
虹(主虹)の外側に、色の並びが逆の「副虹」が見えることもある。
虹の立つ峯より雨は晴れそめて麓の松をのぼるしらくも
藤原親行 風雅集 巻十六
虹の環の大きしづけさ湖底より 山口素堂
虹立ちて忽ち君の在る如し 高浜虚子
十勝野や幾牧かけて朝の虹 水原秋櫻子
虹立つも消ゆるも音を立てずして 山口波津女
虹透きて見ゆわが生の涯までも 野見山朱鳥
秋
秋の虹(あきのにじ)
三秋
夏の虹は夕立の後に色濃く立つのに対し、秋の虹は淡く、はかなく消えてゆく。
秋の虹ほのくらく樹をはなれけり 飯田蛇笏
秋の虹懸け松島の色変はる 宮本由太加
青磁より眼移せば秋の虹 阿部弘子
秋の虹消えたるのちも仰がるる 山田弘子
冬
冬の虹(ふゆのにじ)
三冬
寒い冬の空にかかる虹は、はかない美しさを感じさせる。
あはれこの瓦礫の都冬の虹 富沢赤黄男
冬の虹とびもからすも地をあゆみ 金尾梅の門
冬虹の瀬田の唐橋覆ひける 石井桐陰
地の色を集めて立てり冬の虹 森岡里里子