今日の季語 2月5日
冴返る(さえかえる)
初春
寒が明け、立春を過ぎ春になってから、一旦緩んだ寒気がぶり返すこと。
「冴ゆる(さゆる)」は冬の季語で、冷たく澄み切ったさま、寒さがより厳しくなり冷たく凍り、くっきりと透徹した感じを表す季語。
「冴返る」とは、春になって緩んでいた寒気が、寒波の襲来でまたぶり返すことである。
冴ゆ…目や耳で感じる低温の感覚。光、色、音、寒さが澄み通ること。
冷し…物に触れた時の皮膚感覚
寒し…体全体で感じる冬の低温のこと
冷し…物に触れた時の皮膚感覚
寒し…体全体で感じる冬の低温のこと
余寒、春寒を意味するが、寒波の襲来や冷気が澄み通ってくるというような、より動きのある語である。
季語の成り立ちに深く関わる和歌を学ぶことで、その季語の本意にせまることができます。
さえかへり山風あるゝ常盤木に降りもたまらぬ春の沫雪
玉葉集 巻一春上二九
「冴返る」の傍題: 冱返る(いてかえる)、しみ返る(しみかえる)、寒返る(かんかえる)、寒戻り(かんもどり)
- 五六丈滝冴え返る月夜かな 蓼太
- 三日月は反るぞ寒さは冴えかへる 一茶
- 君行かばわれとゞまらば冴返る 正岡子規
- 鶴の羽や白きが上に冴返る 河東碧梧桐
- 冴え返り冴え返りつゝ春なかば 西山泊雲
- 筆えらぶ店さきにゐて冴え返る 室生犀星
- 冴返る山国に星押し出さる 雨宮抱星
- 冴え返る暗闇の沖父のこゑ 新谷ひろし