冬は自然の中に植物や昆虫などのえさが少なくなるので、庭や身近なところにも小鳥たちがやってくるようになります。
庭にえさ台や巣箱を置いて、野鳥観察を楽しむ方々もいらっしゃることでしょう。
野外でも、木々が落葉していて枝ばかりになっているので、野鳥を見つけやすくなります。
鳥を見つけた時に、なんの鳥か見分けられたら楽しさも倍増しますね。
姿形だけでなく、鳴き声や歩き方、飛んでいる姿なども、種類によってさまざまです。
冬に野鳥が目にとまったら、一句詠んでみてはいかがでしょう。
冬の季語となっている鳥たちを集めてみました。
冬の鳥 一般
寒禽(かんきん)
三冬
渡り鳥や留鳥の区別なく、また種類を問わず、冬の寒さの中にいる鳥のことをいう。
寒さにかじかんでいるように見える小鳥を「かじけ鳥」という。
雪鳥(ゆきどり)
晩冬
雪が降ると、野鳥たちはますます食物をとるのが難しくなってくる。
雪の上で少ない餌を奪い合い、争っている様子もよく見られる。
小鳥
冬の鵙(ふゆのもず)
三冬
鋭い爪とくちばしで小動物や昆虫を捕える鵙。
秋に枝先や杭にとまり、「高鳴き」と呼ばれる甲高い鳴き声をだして縄張り争いをするが、冬になると静かになる。
冬には守った縄張り内で単独で過ごす。
冬の鶯(ふゆのうぐいす)
三冬
ウグイスはほぼ日本全国に生息する鳥で、山地の林や低木林、特にササや藪に住む。
カラマツ林、ブナ原生林や亜高山針葉樹林など、笹薮のよく発達するところにいる。
冬は低地に現れる。
以前はヒタキ科に分類されていたこともあるが、現在はウグイス科が新たに設けられたため、ウグイス科ウグイス属の一種となった。
日本のさえずりが美しい鳥、日本三鳴鳥(にほんさんめいちょう)は鶯、大瑠璃(おおるり)、駒鳥(こまどり)である。
一羽ずつで暮らし、小さな虫や木の実などを食べ、山茶花、椿、梅花の蜜も吸う。
笹鳴(ささなき)
三冬
冬の鶯の地鳴きのこと。
ホーホケキョは繁殖期のオスの鶯が縄張りを主張しているさえずりで、冬は聞かれない。
冬に聞かれるのはチャッチャッまたはジャッジャッという地鳴きで、笹原からよく聞こえるので「笹鳴」といい、この鶯のことを「笹子」と呼んでいる。
鶯のさえずりを「法華経」と聞きなしをしたところから、鶯には「経読み鳥(きょうよみどり)」という別名がある。
三段鳴
1.ヒーホケキョ
2.ホーホケキョ
3.ホロホロホケキョ谷渡り
キチキチ キッキョキョ キッキョキョ笹鳴き
ジャッ ジャッ ジャッ ジャッ
チャッ チャッ チャッ チャッ野鳥の図鑑 保育社刊
冬雲雀(ふゆひばり)
三冬
春は上空高く飛びながらさえずる雲雀も、冬には草地を歩きながら餌を探す姿が見られる。
オスは頭部の冠羽を立てていることも多い。
- 紀の川の晒布の上の冬ひばり 田村木国
- 耳鳴りにまぎれず啼けり冬ひばり 中村草城
寒雀(かんすずめ)
晩冬
寒さの中にいるスズメの姿。
冬、野外に食物が少なくなると、よく庭にもやってくるようになる。
寒さもいよいよ厳しくなってくると、スズメは全身の羽毛をふくらませて保温性を高めている。
そのふっくらとした姿を「ふくら雀」という。
- 脇へ行くな鬼が見るぞよ寒雀 一茶
- けふの糧に幸足る汝(なれ)や寒雀 杉田久女
通し燕(とおしつばめ)
三冬
春の季語となっている「燕」は、春に南から日本に渡って来て、秋には南へと越冬のために渡ってゆく。
病気や怪我、なんらかの理由で冬になっても日本に残っている燕を、通し燕、越冬燕という。
また、日本よりも北方で繁殖したものが日本に渡って来て越冬している場合もあるといわれる。
燕は、つばくらめ、つばくろとも呼ばれる。
鷦鷯(みそさざい)
三冬
山の中の岩や渓流近くの藪、林にいる茶色の小鳥で、尾を立ててにぎやかに鳴く(さえずりは早春頃から)声に特徴がある。
秋から冬にかけては低地に下りてきて越冬する。