秋の星に関する季語を集めました。
夏の夜には雲が広がることが多いですが、秋の夜には晴れてだんだん星が見えやすくなってきます。
今回は秋の天文に分類される、星の季語を集めました。
月が出ていない夜空には星がよく見えます。秋の星空を眺めながらぜひ一句詠んでみてくださいね。
(秋の行事に分類される「七夕関係」の星に関する季語は、ここには掲載していません)
天文
秋の星(あきのほし)
三秋
秋の空は「天高し」と言われるように、高く澄み渡り、星もいっそう輝きを増して明るく見える。
夏の間は夕方から厚い雲がたちこめることが多かったが、秋になりすっきり晴れ渡るようになる。
明るい星は少なくなるが、秋の四辺形といわれるペガスス座やアンドロメダ座、カシオペア座などの秋の星座が見られる。
- 秋の星遠くしづみぬ桑畑 飯田蛇笏
- 山深くもの言ふ水に秋の星 石原舟月
- 夕ぞらの色の中から秋の星 三橋敏雄
- 船つつむ大いなる闇白鳥座 杉村典亮
星月夜(ほしづきよ)
三秋
澄み渡った夜空に、星が輝く夜のこと。
秋といえば月の美しさが愛でられるが、月のない夜に満天の星が輝く美しさも格別である。
- 星月夜空の高さよ大きさよ 尚白
- 霧ふかしかまくら山の星月夜 道興
- われの星燃えてをるなり星月夜 高浜虚子
- 吾が庭や椎の覆へる星月夜 河東碧梧桐
- 風落ちて曇り立ちけり星月夜 芥川龍之介
- 星月夜応へる如く露おけり 高浜年尾
- 山々を覆ひし葛や星月夜 松本たかし
- 智恩院闇に没しぬ星月夜 松崎鉄之介
天の川(あまのがわ)
初秋
万葉集以来、古今集、新古今集、そして連歌時代までは、七夕伝説との関連で歌に詠まれてきた。
俳諧時代になってから、七夕とは関係なく詠まれるようになった。
天空にかかる白い川のように見える天の川。
実際は星の集まりであり、我々の住む太陽系を含む銀河系を中心に向かって眺めた姿である。
- 荒海や佐渡に横たふ天の川 芭蕉
- 更け行くや水田の上の天の川 惟然
- 秋もはや蚊帳に筋違ふ天の川 許六
- 菊河に公家衆泊めけり銀河(あまのがは)蕪村
- 天の川うつる木草の雫かな 闌更
- うつくしや障子の穴の天の川 一茶
- 夜の散歩銀河の岸にそふ如し 井沢正江
- 修院へ入る娘と仰ぐ天の川 景山筍吉
流星(りゅうせい)
三秋
宇宙空間の塵が地球の大気圏内に落ちてくると燃えて流星となって見える。
ほとんどは大気中で燃え尽きてしまうが、燃え尽きず地上に落下すると隕石となる。
彗星の軌道には彗星から放出された無数の塵が漂っていて、そこに地球が公転して横切るときには流星群が見られる。
立秋(8月8日頃)から立冬(11月7日頃)までの主な流星群
ペルセウス座流星群 8月13日ごろ
オリオン座流星群 10月21日ごろ
(暦の上では冬になりますが、しし座流星群(11月17日ごろ)は2001年に大出現したこともあり有名になりました。)
- 星一つ命燃えつゝ流れけり 高浜虚子
- 星のとぶもの音もなし芋の上 阿波野青畝
- 流星の針のこぼるるごとくにも 山口青邨
- 流星やかくれ岩より波の音 大野林火
- さそり座を憶えし吾子に星流れ 稲畑汀子
碇星(いかりぼし)
三秋
北の空に見られる、ローマ字の「W」の形に五つの星が並ぶカシオペア座の和名。
和船の碇の形に似ているため。
北極星を探すのに用いられることでも知られる。
その北極星の向こう側には北斗七星がある。
秋には特に美しく見えるので秋の季題とされている。