冬に枯れた植物に関する季語・樹木編

冬枯れの木と草
冬が近づくと落葉樹や草花は枯れ始め、枯れ葉となって落ちていきます。

春に新芽を出し、夏に青々と育ち、秋に紅葉し、そして冬には枯れて散っていく…
そして枯葉たちは大地に還り、新たに芽吹くための養分として蓄えられていきます。

葉っぱの一生のサイクルの終わりである、冬枯れ。
でもそれは新たなる命をつなぐ希望を宿しています。

そんな冬枯れの季語を集めてみました。

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植物

冬木の桜(ふゆきのさくら)

三冬
葉も枯れ、すっかり落葉してしまった冬枯れの桜の木。

枯桜(かれざくら)
「冬桜(ふゆざくら)」は晩冬の季語で、冬咲きの種類の桜のこと。晩秋から翌年の一月にかけて咲く。寒桜、緋寒桜(ひかんざくら)、十月桜などがある。

枯山吹(かれやまぶき)

三冬
春には黄色の花を咲かせた山吹も、冬には落葉する。
山吹は、緑色の細い枝が密集しているので見分けやすい。

枝は細くても根の張りはとても強い植物で、大株になっているものの移植は大変になる。
庭木としてもよく植えられている。

枯れ芙蓉(かれふよう)

枯れ芙蓉
三冬
夏から秋にかけて、ピンク色の大きな花を咲かせる芙蓉も、冬は落葉する。
朝に咲いて夕方にはしぼんでしまう一日花だが、毎日次々に開花して、種の入った実をたくさんつける。

枯れるころには実も茶色く熟し、皮が五つに割れて中には毛に覆われたたくさんの種子がある。
枯れた姿も味わい深いものがあり、「枯芙蓉」とよばれる。

酔芙蓉(すいふよう)は朝に開花した時は白い花で、夕方になるにつれ赤くなってくる。

芙蓉枯る(ふようかる)

冬紅葉(ふゆもみじ)

冬の紅葉
初冬
冬になってもまだ赤く色づいたまま、紅葉を保っている木々。
周りがすっかり枯葉色になってしまう中で、鮮やかな色がより引き立って見える。

日本は南北で紅葉の時期に開きがあり、高地や低地でも違ってくる。
近年は紅葉の時期が遅くなる傾向もあって、冬紅葉を鑑賞する機会も多い。

残る紅葉

紅葉散る(もみじちる)

紅葉散る
初冬
赤や黄色に色づいた葉が、本格的な寒さの到来とともに一枚一枚はらはらと散り始め、地面を鮮やかに彩るようになる。その散った葉を散紅葉という。

散紅葉(ちりもみじ)

落葉松散る(からまつちる)

落葉松林の紅葉

落葉松林の紅葉

初冬
落葉松は平地ではなかなか見かけないが、高山帯に分布している。
針葉樹だが、秋に細い葉が黄金色に染まり、一斉に落葉してあたり一面に金色の葉が降り積もる。

「落葉松」といえば、野上彰作詞、小林秀雄作曲の有名な曲があります。
自然と心情を美しく歌った詩とメロディーが、とても印象的な曲ですね。

落葉松落葉(からまつおちば)

木の葉(このは)

三冬
散ってゆく葉、地面に散り敷いた葉、枝に残っている葉、すべて冬の木の葉をいう。

木の葉散る、木の葉焼く
木の葉雨(このはあめ)、木の葉時雨(このはしぐれ)…まるで雨が降るような音を立てて、葉が散っていく様子。

枯葉(かれは)

三冬
木々の葉、草、すべて植物の枯れた葉をいう。
地面に落ちた枯葉、まだ枝に付いたままの枯葉などが木枯らしに吹かれている様子などは、もの寂しさを醸し出している。

落葉(おちば)

落ち葉掻き

落葉掻(おちばかき)

三冬
冬、地面に散った落葉樹の葉。
庭や道の落ち葉を、掃いて集め、焚くのが落ち葉焚き。唱歌の「たき火」が思い出されますね。

落葉(らくよう)、落葉籠(おちばかご)、落葉掻(おちばかき)、落葉掃く(おちばはく)、落葉焚(おちばたき)、落葉焚く(おちばたく)、椎落葉(しいおちば)、落葉時(おちばどき)、落葉山、落葉の雨(おちばのあめ)、落葉の時雨(おちばのしぐれ)、落葉風(おちばかぜ)

柿落葉(かきおちば)

初冬
この柿落葉と、以降の朴落葉(ほおおちば)、銀杏落葉(いちょうおちば)は葉が特徴的なので、特別に呼び名がついた。
柿の落ち葉は、赤、朱色、黄色、緑色など混じり合い、斑点などもありとても味わいがある。

朴落葉(ほおおちば)

初冬
朴葉焼き、朴葉味噌、朴葉寿司などに使われることで有名な朴の木。
葉は20〜30センチほどの楕円形で、丈夫で殺菌作用もある。

枯れると褐色になり、裏は灰色がかった色になる。
枯れてからからに乾くと、高い木の枝からばさりと落ちてくる。

銀杏落葉(いちょうおちば)

イチョウ落ち葉
初冬
街路樹に多く用いられ、また神社仏閣の境内、学校、公園にもよく見られる。
明治神宮外苑や、昭和記念公園の銀杏並木も有名。

扇型の葉が、黄緑色から黄色へと変わり、地面一面に黄色の葉が敷き詰められる。

銀杏散る

朽葉(くちば)

三冬
地面に落ちた落葉樹の葉が、雨や雪にさらされて年月が経ち朽ちたものをいう。
落葉樹の林などは、朽葉が腐葉土となり歩くとふかふかする感触がある。

色の和名に「朽葉色(くちばいろ)」があるが、くすんだ赤みの黄色で、近世以降の茶色に相当する。
より赤みを帯びた「赤朽葉(あかくちば)」は、襲(かさね)の色目としては青朽葉とともに用いられた。
より黄みを帯びたものは「黄朽葉(きくちば)」といった。

いときよらなるくちばのうすもの、いまやう色の二なく打ちたるなど、ひきちらしたまへり

源氏物語、野分

冬木(ふゆき)

冬の木
三冬
冬の寒い中を立っている木を、常緑樹も落葉樹もふくめて冬木というが、葉を落としつくして裸木になったイメージが強い言葉。

冬木影(ふゆきかげ)、冬木道(ふゆきみち)、冬木宿(ふゆきやど)、冬木中(ふゆきなか)、冬木原(ふゆきはら)

冬木立(ふゆこだち)

冬木立
三冬
冬木が数本立ち並んでいること。

夏木立が、葉が青々と茂っているのに対し、冬木立は枝ばかりとなった木々が立ち並んでいる様子。

寒林(かんりん)

三冬
葉をすっかり落とした木々が立ち並ぶ林。

冬木立よりも奥行きのある林で、さらに「カンリン」という語感が厳然とした中にも凛とした雰囲気を出している。

寒木(かんぼく)

名の木枯る(なのきかる)

三冬
木の名前を特定して呼ぶ樹種の木が、落葉して枯れ果てること。
具体的な木の名前をつけて、「〜枯る」というように用いられる。

桜枯る、銀杏枯る、欅枯る(けやきかる)、櫟枯る(くぬぎかる)、榎枯る(えのきかる)、葡萄枯る(ぶどうかる)
  • 人居らず 枯桐にある 夕明り 室生犀星

枯木(かれき)

枯葉の道

枯木道

三冬
葉を落とし尽くした裸木の落葉樹、枯れ葉を枝につけたままの落葉樹ともに、冬枯れている木のこと。
冬木よりも、枯れているという感じが強い言葉。
本当に枯れてしまった木のことではない。

冬の木々は眠っているようでも、来るべき春に向けて準備しながら冬の寒さに耐えて生きている。

枯木(こぼく)、裸木(はだかぎ)、枯枝、枯木立、枯木星
枯木道…枯葉の落ちた並木道
枯木宿…枯れ木の中にある宿や庭に枯れ木のある宿

枯柳(かれやなぎ)

三冬
水辺に多く植えられている柳も冬には落葉し、細い枝を無数に全体に垂らし、冬枯れの状態になる。

しなやかな細い枝が寒風に吹かれて波打つ様子も侘しさが漂う。

柳枯る、冬柳、冬の柳

枯桑(かれくわ)

三冬
養蚕地では、晩秋には一株毎に桑の木の枝をくくり、桑の葉はそのまま枯れてゆく。

桑畑では、冬枯れた桑の直立したような細い枝が天に向かってそびえ、荒涼としている。

桑枯る

枯茨(かれいばら)

ノイバラの実

野茨の実

三冬
野茨(のいばら)、バラ科の落葉低木がすっかり落葉している状態。

葉は落ちても鋭いトゲが残っていて、赤い実が残っていることもある。

茨枯る

冬柏(ふゆかしわ)

三冬
柏は枯葉を枝につけたままのことが多い。
風に吹かれて大きな枯葉がかさかさと音を立てる。

楢(なら)の木や、櫟(くぬぎ)の木も、枝に枯葉がついたまま冬を過ごす。

柏は春の芽吹き前まで枯葉が枝に残っていることから、木に宿っている神が葉を守っていると考えられ、「柏木の葉守りの神(はもりのかみ)」といわれた。

柏の枯葉、枯柏(かれかしわ)
次回は冬に枯れた植物に関する季語・草花、そして地理編をお届けします。
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