夏の鳥の季語・その他

夏のツバメ
夏の鳥の季語、5回目の最終回は、夏以外の季節の鳥の、夏の姿を詠む場合の季語を集めました。

ヒバリ、ウグイス、ツバメ、カモ、カラスなど、身近な鳥たちの夏の姿もぜひ俳句に取り入れてみてくださいね。

夏の鳥の季語・小鳥1(スズメより小さいか同じくらい)
夏の鳥の季語・小鳥2(スズメより大きい小鳥)
夏の鳥の季語・陸鳥(全長27cm以上の陸の鳥)
夏の鳥の季語・水鳥(水辺の鳥)

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動物

練雲雀(ねりひばり)

晩夏
ヒバリ
繁殖期を終え、夏の換羽期に入ったヒバリ。

繁殖期にはさえずって天に昇るような「揚雲雀」であったが、練雲雀はそのような行動はない。
麦畑や河原でみられる。

「雲雀」は春の季語です。
夏雲雀(なつひばり)
  • 雲に鳴夢や見つらん練ひばり 車蓋
  • 夏ひばり微熱の午後の照り曇り 日野草城
  • 夏雲雀あがりし蕗のあらしかな 加藤楸邨
  • 夏ひばりよき衣に替へ弾まんや 原コウ子
  • 噴煙と高さを競ひ夏ひばり 足立幸信

老鶯(おいうぐいす)

三夏
夏のウグイス
夏の鶯のこと。
もとは漢詩でいわれた言葉で、夏になって声に生気がなくなるとして老鶯といった。

実際は夏は鶯の繁殖期で、平地から山地に移り、さかんにさえずっている。

鶯を春のものとし、残鶯、晩鶯ともいう。

「鶯」は春の季語です。
夏鶯(なつうぐいす)、老鶯(ろうおう)、鶯老を啼く(うぐいすおいをなく)、狂鴬(きょうおう)、乱鴬(らんおう)、深山鶯(みやまうぐいす)、残鴬(ざんおう)、晩鴬(ばんおう)
  • 鶯や竹の小藪に老を啼く 芭蕉
  • 老を鳴く鶯思へきのふけふ 路通
  • 鶯もとしのよらぬや山の酒 一茶
  • 老鶯や行くほどに減る渓の水 佐藤紅緑
  • 老鶯や貴船鞍馬の幾つ谷 松根東洋城
  • 夏うぐひす総身風にまかせゐて 桂信子

鶯の付子(うぐいすのつけご)

仲夏
鶯の雄の雛のそばで、声の良い鶯を鳴かせて、鳴き方を覚えさせること。
元禄時代ごろからの風習で、雛を付子といい、教える鶯を押親という。

付子は鶯だけでなく、ヒガラ、ヒバリ、コマドリ、ホオジロなどでも行われた。

鶯の押親(うぐいすのおしおや)
  • 鶯の付子育つや小商ひ 松瀬青々
  • 王鶯と廊下にかけて附音かな 原石鼎

鶯音を入る(うぐいすねをいる)

晩夏
繁殖期を終えた鶯が、さえずりをやめ地鳴きだけになること。
翌年の春まで、チャッ、チャッという地鳴き(笹鳴き、小鳴き)になる。

  • 鶯や音を入れて只青い鳥 鬼貫
  • 鶯の音をや入けん哥袋(うたぶくろ) 蕪村
  • 石庭寺深く鶯音を入るる 桜木俊晃

夏燕(なつつばめ)

三夏
夏のツバメ
夏に見かける燕のこと。

燕は春に南方より飛来するため春の季語となっているが、夏は燕の子育ての時期。

巣立ちできるまで餌を運び、雛を一生懸命に育てる様子が見られる。

「燕」は春の季語です。
夏の燕(なつのつばめ)
  • 夏燕小家貫き見ゆ水田かな 松根東洋城
  • 山塊を雲の間にして夏つばめ 飯田蛇笏
  • かはらざるものに川あり夏つばめ 上村占魚
  • 潮の香へ開く改札夏つばめ 奥名春江

燕の子(つばめのこ)

三夏
ツバメの巣立ち
燕は春に飛来して営巣し、5月ごろと7月ごろの二回、ヒナが孵化する。

親燕が餌を捕えて帰ってくると、巣から一斉にヒナが鳴きながら大きなくちばしを開ける姿が見られる。

やがて巣から出て飛べるようになり、親とともに南方へ帰ってゆく。

子燕(こつばめ)、親燕(おやつばめ)
  • 飛び習ふ青田の上や燕の子 麦水
  • 燕子の親待つて泣く口の形 小宮豊隆
  • 子燕のさざめき誰も聞き流し 中村汀女
  • 天窓の朝明けを知る燕の子 細見綾子
  • 葛は蔓伸ばしはじめぬ燕の子 波多野爽波
  • いつせいに喉もと反らし燕の子 鷹羽狩行

鶉の巣(うずらのす)

三夏
ウズラの巣
夏に、繁殖のために鶉が作った巣。
おもに東北地方や北海道の草原や牧場などの草むらのくぼみに、枯れ草を敷いて巣にする。

「鶉」は秋の季語です。
  • 野鼠にゆかり持ちたり鶉の巣 西鶴

鴉の子(からすのこ)

三夏
カラスのヒナ
夏の鴉のヒナ。
鴉は自分の縄張り内の樹上に枯れ枝などで営巣し、数個の卵を産む。
かえったヒナは、夏の間親鴉に育てられる。

「鴉」は特定の季節の鳥とはされていません。
子鴉(こがらす)、親鴉(おやがらす)
  • 口あけて屋根迄来るや烏の子 正岡子規
  • 烏の子一羽になりて育ちけり 村上鬼城
  • 子鴉や前のめりして枝を得し 島村元
  • たべ飽きてとんとん歩く鴉の子 高野素十

夏の鴛鴦(なつのおし)

三夏
夏のオシドリ
鴛鴦の雄は、夏の繁殖期に美しい夏羽となる。
雄と雌が鳴き交わしながら泳いでいる様子が涼を誘うので、「鴛鴦涼し」を夏の季題としている。

「鴛鴦」は、冬の季語です。
鴛鴦涼し(おしすずし)
  • をし涼し大雷驟雨過ぎて後 青木月斗
  • 波のある辺りに居りて鴛鴦涼し 佐藤眉峰

夏の鴨(なつのかも)

三夏
夏のカモ
鴨は冬の季語となっているが、夏には「夏の鴨」または「鴨涼し」として詠む。

鴨には四季を通して見られるカルガモと、渡り残った「通し鴨」がいる。

「鴨」は冬の季語です。
鴨涼し(かもすずし)
  • 夏鴨や堤の人にいつも遠く 松本弘孝
  • 夏鴨の大竹藪に迷ひ込む 坂本信子

通し鴨(とおしがも)

三夏
秋に渡来して、翌年の春に北方へ帰ってゆく鴨のうち、そのまま留まって営巣する鴨。

  • 暮らすには一人がましか通し鴨 一茶
  • しづかさや山陰にして通し鴨 松瀬青々
  • 水暗きところにをりぬ通し鴨 星野麦丘人
  • 通し鴨のせて天龍海へ出づ 和田祥子

鴨の子(かものこ)

三夏
春に北方へ帰ってゆかなかった鴨は、夏に営巣して雛を育てる。
親鴨のあとに列をなして子鴨たちが泳いでいく姿は、夏の水辺の風情として親しまれている。

子鴨(こがも)、鴨の雛(かものひな)
  • 鴨の子を盥(たらひ)に飼ふや銭葵 正岡子規
  • 我庭に育ちし子鴨とびにけり 大須賀乙字
  • 波に乗り鴨の子軽さありにけり 坂本見山

軽鳧の子(かるのこ)

カルガモとヒナ
三夏
カルガモは6月ごろに孵化した雛たちが、親鳥について歩いたり泳いだりする姿が見られる。

軽鴨の子(かるがものこ)
  • かるの子や首さし出して浮藻草 惟然
  • かるの子のひとり出て行く小浪かな 暁台
  • かるの子のつぎつぎ残す水輪かな 村上鬼城
  • 軽鳧の子が飛ぶなり旅の能登の海 田村木国

羽抜鳥(はぬけどり)

晩夏
冬羽から夏羽に生え変わる時に、すっかり羽が抜け落ちてしまった鳥のこと。

羽抜鶏(はぬけどり)、羽脱鶏(はぬけどり)、羽抜鴨(はぬけがも)、羽抜雉子(はぬけきじ)、鳥の換羽(とりのかえば)
  • 羽ぬけ鳥啼音ばかりぞいらご崎 其角
  • 羽ぬけ鳥塒(ねぐら)にけぶる浅間山 蕪村
  • 松風や関はむかしに羽抜鳥 白雄
  • 人間と暮してゐたる羽抜鳥 今井杏太郎
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