立春を迎えて春になってから降る、春の雪の季語をまとめました。
春の寒さに関する季語もご参考になさってください。
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春の季語一覧
春の季語一覧
天文
春の雪(はるのゆき)
三春
立春を過ぎてから降る雪のこと。
地面に落ちると淡雪のようにすぐとけてしまうこともあり、時には夜の間降り続き、一面の雪景色になることもある。
雪に慣れていない首都圏は少しの積雪でも交通が麻痺することがある。
春雪(しゅんせつ)、春吹雪(はるふぶき)
- 追々に塔の雫や春の雪 二柳
- 春の雪青菜をゆでてゐたる間も 細見綾子
- 柊に春の雪降り一樹の音 野澤節子
- 春雪のあとの夕日を豆腐売 大串章
淡雪(あわゆき)
三春
春になって気温が高くなってから降る雪は、融けやすく、すぐに消えてしまう。
牡丹雪(ぼたんゆき)、綿雪(わたゆき)、かたびら雪、たびら雪、だんびら雪、沫雪(あわゆき)、泡雪(あわゆき)
- 淡ゆきや幾筋きえてもとの道 千代女
- 淡雪のつもるつもりや砂の上 久保田万太郎
- 淡雪のうしろ明るき月夜かな 正岡子規
- 淡雪や妻がゐぬ日の蒸し鰈 臼田亜浪
斑雪(はだれ)
三春
春になって、まだらに積もった雪の情景。
(はらはらと降る雪をはだれ雪と呼ぶ地域もある。)
はだら、はだら雪、斑雪野(はだれの)、斑雪山(はだれやま)、斑雪嶺(はだれね)、まだら雪、斑雪凍つ(はだらいつ)
- 斑雪山半月の黄を被るなり 大野林火
- 日がさしてくるはさびしや斑雪山 清崎敏郎
- 斑雪照り山家一戸に来るはがき 鷲谷七菜子
雪の果(ゆきのはて)
仲春
その春の雪の降り納めで、およそ涅槃会(陰暦二月十五日)の前後とされるので、涅槃雪ともいう。
涅槃雪(ねはんゆき)、名残の雪(なごりのゆき)、雪の名残(ゆきのなごり)、雪の終(ゆきのおわり)、雪の別れ(ゆきのわかれ)、忘れ雪(わすれゆき)、終雪(しゅうせつ)、雪涅槃(ゆきねはん)
- 雪の果山の日あたる障子かな 増田龍雨
- 発心の小几(こづくゑ)作る雪の果 石田波郷
- 鳥だけが知る山窪のわすれ雪 能村登四郎
- しきりなるあと降りあそび雪の果 久下史石
春の霙(はるのみぞれ)
三春
春には、降っている雨がいつの間にか雪混じりになってみぞれになっていたり、雪がいつの間にか雨混じりになりみぞれになっていることもある。
春みぞれ
- 人恋し春の霙の桐火桶 奇淵
- もろもろの木に降る春の霙かな 原石鼎
- 春霙ひとりの旅に別れはなし 樋笠文
雪ねぶり(ゆきねぶり)
仲春
雪解けのころ、地面にたつ靄(もや)のこと。
暖かい春の日差しに照らされて、地面から靄が立ちこめる様子。
- 山神の祠隠しの雪ねぶり 富沢みどり
桜隠し(さくらかくし)
晩春
桜の咲く時期に降る雪、また桜の花に降り積もった雪のこと。